2006年3月27日 17時49分
[WEB担当]
スタッフのことば
2006
スタージュの様子 3月23日午後3時。桜が咲き初めた東京の一角、恵比寿の日仏会館で、2006年フランス語教育国内スタージュが開幕した。日本フランス語フランス文学会、日本フランス語教育学会、フランス大使館-3つの柱に支えられた本スタージュには、様々な形でフランス語教育に携わる人々が集まった。少々緊張ムードの中に始まった自己紹介(フランス語)では、「高校教員です」「富山出身です」「大学院生です」「フランス革命が専門です」「日本語を教えていました」など、多様な受講生の横顔が垣間見られた。初日後半は本スタージュの講師も交えた討論となり、「学習者のやる気をそそるような」「生きた言語としてのフランス語を教える方法」に興味がある等、意欲的な意見が飛び交った。 受講生の1日:3月24日-午前中は日本人講師と共にセアンスを担当したブザンソンからの招聘講師の語る教授法の歴史に聴き入り、午後の日仏講師のチーム・ティーチングについてのアトリエでは、国籍当てゲーム実践で、コザックダンスを熱演する者もあった。また、夕刻まで続いた文法の扱い方の授業では真剣な議論が交された。「ここまでの感想は?」という質問に返ってきた答えは、「内容が本当にバラエティーに富んでいて、面白いです」ということだった。それぞれの現場に即した教え方・学び方を探る鍵をここでしっかりつかみ、未来のフランス語教育の扉をあけられるようエールを送りたい。(国内スタージュ作業部会 高瀬智子 1998年志賀スタージュ参加)招聘講師カニエさん語録
トルコでフランス語と教授法を教えていたとき、現地と軋轢がありました。それまで教壇に立っていたのは、多くがトルコ人と結婚したフランス人女性でした。わたしは、たとえ少しくらい訛りがあっても、きちんとした教授法を身につけたトルコ人の教員を採用するようにしたのです。」(研修2日目、スタッフとの昼食で) (模擬授業直前の打ち合わせ。司会の中村公子先生、田中幸子先生と)「(もし受講生がフランス語での教案説明で立ち往生したら)、大きく息を吸うんだ、と言いましょう。」 「わたしは授業の準備をせずに教室に入ったことは一度もありません。打ち明けて言うと、今でも授業の前にはいつも心臓がドキドキします。もし、いつの日か不安を感じなくなったら、わたしはこの仕事をやめようと思っています。」(研修最終日、模擬授業の講評で。文責有田)。 授業見学記 アトリエとは、いわゆる「ワークショップ」のフランス語訳で、参加型、体験型の講習会や研究会を意味します。 研究会という面では、近年、本学会が全国大会で企画している「ワークショップ」の形態があたるでしょう。授業形式としては、生徒を参加させる、巻き込み式の形態となるでしょう。これは生徒が受身ではなく、問題を提起し他の生徒が答え、そして実際に体験することで学習する授業です。発話がなされる場所や人物の脱=中心化という風に捉えられます。 國枝・ルロワのクラス(金曜3限)はまさにこの意味でのアトリエでした。特に、後半のルロワ氏の提起したゲーム形式による試みはそのとおりでした。というのは、生徒を立たせて席を移動させる、机を並びかえる、こうしたことが授業と脳の活性化につながるからです。 また、日本人とフランス人の教員がペアを組んで授業に臨むというのも、ある意味でこのアトリエの脱=中心的発想の延長にあると思われます。ところで、日本人教師とフランス人教師は、役割分担などせず同じことを継続していけば、おのずと相互補完的になる、という主張が授業中にあり、これが非常に印象に残っています。これから、この考えについて、ゆっくりと考えてみます。(熊本哲也語学教育委員長の感想に、有田が加筆) 2008年スタージュは、3月23日-27日に東京日仏学院(飯田橋)にて開催されました。